「人と人」のつながりが、企業を前へ進める。株式会社エグゼマッチ 猪谷進介代表が描く、共に成長する場所

金融機関で8年間働き、30歳でまったく異なるWebマーケティングの世界へ。

その後、個人事業主として独立し、複数の企業経営にも携わりながら、自身の会社である株式会社エグゼマッチを立ち上げた猪谷進介代表。

現在はWebマーケティング事業に加え、経営者や個人事業主がつながり、学び、互いの課題を解決しながら成長していくコミュニティを運営しています。

一見すると、大きくキャリアを変化させてきた猪谷代表。

しかし、その歩みをたどっていくと、そこには一貫して大切にしてきたものがありました。

それが、「人と人とのつながり」です。

株式会社エグゼマッチ代表取締役の猪谷進介氏

金融機関で過ごした8年間。「本当に相手のためになっているのか」

武蔵大学を卒業後、猪谷代表が新卒で入社したのは、東京都内の信用金庫でした。

22歳から30歳までの8年間、営業や融資など金融の仕事に従事。中小企業の経営者と接し、資金繰りや経営について考える日々を過ごしました。

数字を見ることが好きで、金融という仕事そのものから学ぶことも多かった一方、次第にある葛藤を抱くようになります。

それは、「自分が本当にやりたいことと、仕事として求められることの違い」でした。

資金繰りに苦しみ、本当に融資を必要としている企業があっても、財務状況によっては融資が難しい。

一方で、営業としての目標を達成するためには、必ずしも資金を必要としていない企業に融資を提案しなければならないこともある。

「本当に目の前のお客様のためになっているのだろうか」

そんなモヤモヤが少しずつ積み重なっていきました。

そして30歳という節目を迎えたとき、猪谷代表は大きな決断をします。

「せっかくなら、まったく違う業界に行ってみよう」

選んだのはWebマーケティングの世界でした。

2019年頃、これからの時代はWebの知識が必要になると考え、サイト解析やSEO対策に強いベンチャー企業へ転職。

8年間積み重ねてきた金融のキャリアを手放し、新しい世界へ飛び込みました。


31歳で独立して初めて分かった「販路開拓」の本当の難しさ

Webマーケティング会社で約1年間経験を積んだ後、31歳で個人事業主として独立。

しかし、独立して初めて、信用金庫時代に経営者たちが話していた言葉の意味を身をもって理解することになります。

信用金庫時代、中小企業の社長に経営課題を尋ねると、多くの人が口を揃えるように「販路開拓」と答えていました。

当時は会社員だったこともあり、その苦しさを完全には理解できていなかったといいます。

ところが、自分自身が独立すると状況は一変します。

相談できる相手がいない。
十分な人脈もない。
仕事をどう獲得していけばいいのか分からない。

遠回りをしながら事業を進める中で、

「販路開拓が大変というのは、こういうことだったのか」

と、初めて自分事として理解しました。

そんな猪谷代表を助けてくれたのも、やはり「人」でした。

経営者とのつながりが増えるにつれ、

「Webマーケティングに興味がある人がいるよ」

と仕事を紹介してもらえるようになったのです。

その経験から猪谷代表の中で、「人とのつながり」に対する考え方が大きく変わっていきました。


AIの時代だからこそ、「人対人」の価値はなくならない

現在はAIによって、さまざまな仕事が効率化される時代です。

しかし猪谷代表は、どれだけAIが進化しても、人と人との関係性がなくなるとは考えていません。

むしろ、テクノロジーが進化する時代だからこそ、人とのつながりがより重要になる。

独立後、自分自身が人との縁によって助けられた経験が、その考えの原点になっています。

そこで生まれたのが、現在エグゼマッチが力を入れているコミュニティ事業です。

目指したのは、単なる「交流する場所」ではありません。

経営者や個人事業主が横につながり、協業し、ときには互いの悩みをさらけ出しながら、一緒にビジネスを成長させていく場所。

猪谷代表自身が独立当初に「あったらよかった」と思える環境を形にしていきました。


「完成することのないコミュニティ」をつくる

エグゼマッチのコミュニティを象徴する考え方があります。

それが、

「完成することのないコミュニティ」

という言葉です。

猪谷代表は冗談交じりに、「サグラダ・ファミリアのようなコミュニティ」と表現します。

最初は、人と人がつながる場所としてスタート。

しかし、運営する中で会員の声や経営課題に触れ、「これがあったらもっといい」というものを次々とサービスへ追加してきました。

その一つが、参加者が自分の経営課題をオープンにし、全員で解決策を考える「課題相談」の場です。

誰かが、

「今、こんなことで悩んでいます」

と話せば、参加者全員でアイデアを出す。

すると、単なるアドバイスだけでは終わりません。

「それなら一緒にセミナーをやりませんか」

「自分たちの事業と組み合わせられそうですね」

と、新しい協業が生まれることもあります。

悩みを開示するからこそ、その人のことを深く知ることができる。

そして、そこから信頼関係が生まれていくのです。

さらに、経営者が税務などを学べるコンテンツのアーカイブ化や、弁護士・税理士などに相談できる仕組みづくりにも取り組んでいます。

「これで完成」ではなく、会員とともに成長し続ける。

その先に猪谷代表が目指しているのは、

「ここ、どのコミュニティよりもコストパフォーマンスが高いよね」

と思ってもらえる場所です。


「猪谷さんがつくったなら入りたい」——忘れられない第一号会員

コミュニティを立ち上げた当初、猪谷代表には忘れられない出来事があります。

ある交流会で何度か顔を合わせていた一人の経営者。

特別に深い話をしていたわけではなく、会えば「今日も会いましたね」と言葉を交わす程度の関係でした。

ある日、駅まで一緒に帰ることになり、猪谷代表が何気なく、

「今度、オンラインコミュニティをつくるんですよ」

と話しました。

すると、その人から返ってきたのは予想外の言葉でした。

「猪谷さんがつくったんだったら、僕は一番になりたいです。第一号で入りたいです」

まだ料金も、具体的なサービス内容も説明していません。

それでも「入りたい」と言ってくれた。

その瞬間、猪谷代表は改めて気づきました。

商品やサービスの中身だけではない。

最後に人を動かすのは、「誰がやるのか」なのだと。


仲間が離れていった経験から学んだ、「お金だけでは人はつながらない」

一方で、ここまでの道のりが順調だったわけではありません。

特に苦労したのが、独立当初の業務委託スタッフの定着でした。

Webマーケティングの仕事では、ディレクター、クリエイター、ライターなど、多くの専門家と協力して一つの仕事をつくります。

しかし当初は、少し条件の良い仕事が見つかると人が離れ、また新しい人を探す。その繰り返しだったといいます。

単価を上げても状況は根本的には変わりませんでした。

そこで猪谷代表がたどり着いたのが、コミュニケーションの量を増やすことでした。

15分、20分でもいい。

オンラインで顔を合わせ、あえて仕事の話をしない時間をつくる。

雑談を重ねる。

何度も話しているうちに、少しずつ本音が出てくる。

そこで猪谷代表は、

「そもそも信頼関係をつくれていなかった」

ことに気づきます。

コミュニケーションを変えてから、報酬を上げたわけではないにもかかわらず、仲間たちは長く関わってくれるようになりました。

現在では、4年ほど一緒に仕事をしているメンバーも多いといいます。

顧客との関係も、仲間との関係も、根本は同じ。

ここでも猪谷代表が大切にしてきた「人対人」という価値観につながっています。


大切にしているのは「スピード感」。思ったら、まずやってみる

人との関係性を大切にする一方、経営において猪谷代表が曲げたくないものがあります。

それが、スピード感です。

市場は常に変化し、どの業界にも競合がいる。

だからこそ、完璧になるまで考え続けるのではなく、

「やろうと思ったら、まずやる」。

違えば方向転換すればいい。
必要なら撤退すればいい。

許容できるリスクを把握したうえで、まず動く。

「今日やると決めたら、今日の夜にでも始める」

それほどのスピード感を大切にしています。

猪谷代表自身、エグゼマッチらしさを表すなら「猪谷自身そのもの」だと話します。

意思決定をし、良いと思ったものはすぐに取り入れ、まず前へ進む。

その姿勢こそが、エグゼマッチという会社の文化を形づくっています。


一緒に働く仲間にも「成長できる経験」を

現在のエグゼマッチでは、正社員という形ではなく、業務委託のパートナーたちが事業を支えています。

猪谷代表が仲間に求めているのは、単に仕事をこなしてもらうことではありません。

願っているのは、「ここでの仕事を通じて成長してほしい」ということです。

経営者と接する。
さまざまな価値観に触れる。
これまで知らなかったことを学ぶ。

それが将来、新しい事業につながってもいい。

独立につながってもいい。

もちろん、必ずしも起業する必要もありません。

仕事を通じて得た経験によって、一人の人間として成長してもらえたなら、それが嬉しい。

猪谷代表は、仲間に対してそんな想いを持っています。


目指すのは、企業にもっと深く入り込み、「成長の後押し」ができる存在

今後、エグゼマッチが目指しているのは、コミュニティをさらに大きくすることだけではありません。

一社一社の企業に、より深く向き合うことです。

猪谷代表には、信用金庫時代に培った金融の経験があります。

決算書を読み、財務状況を把握し、会社のお金がどこへ流れているのかを見る。

そこにWebマーケティングや経営者コミュニティで培った知見を掛け合わせれば、

「今、この会社が本当に投資すべきものは何なのか」

まで一緒に考えることができます。

コストを見直すべきなのか。
人へ投資すべきなのか。
設備なのか。
認知拡大なのか。
Webマーケティングなのか。

会社のフェーズによって、正しい投資先は変わります。

だからこそ、企業と決算書まで見せてもらえるような信頼関係をつくり、本質的な課題まで一緒に考えたい。

そして、

「猪谷さんやエグゼマッチと関わってよかった」

と思ってもらえる会社にしたいと考えています。


「自分と関わった人が、少しでも幸せになってくれたら」

インタビューの最後、猪谷代表に「個人として叶えたい夢」を尋ねました。

返ってきたのは、壮大な事業目標でも、大きな売上目標でもありませんでした。

「自分と関わった身近な人が、自分と関わったことで少しでもプラスになった、幸せになったと思ってもらえるような人になりたい」

という言葉でした。

家族、両親、兄弟、親友。

そして、仕事を通じて出会った人たち。

悩んでいるときには相談相手になり、何かに挑戦するときには背中を押せる。

その人の人生にほんの少しでも良い影響を与えられる存在でありたい。

そのためにも、自分自身が学び、経験し、成長し続けたいといいます。

振り返れば、その想いはエグゼマッチの事業そのものにも表れています。

信用金庫時代に感じた葛藤。

独立して経験した孤独や販路開拓の難しさ。

人に助けられた経験。

仲間が離れていった経験。

そして、コミュニケーションによって信頼関係を築けた経験。

一つひとつの経験がつながり、現在の「人と人がつながり、共に成長する場所」へとたどり着きました。

AIやテクノロジーが急速に進化する時代だからこそ、最後に大切になるのは「人」。

株式会社エグゼマッチがつくろうとしているのは、単なるコミュニティではありません。

人と人との信頼を起点に、経営者も、企業も、そこで働く仲間も、一緒に次のステージへ進んでいける場所。

そしてその中心には、「自分と関わった人を少しでもプラスにしたい」という猪谷代表の想いがあります。

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